午前8時すぎ、会場前の列は200メートル以上に及んだ。日本人の姿もかなり目立つ
指定席でも早朝から並び、10センチ以上は身を乗り出さない――。羽生結弦(23)=ANA=が首位に立った16日のフィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)で、会場に一番乗りした羽生ファン4人組に密着した。
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16日朝、会場前には200メートル以上の行列ができた。最前列に並んでいたのは、日本から来た50~60代の女性4人組。朝5時半にホテルを出て、6時半に到着したという。チケットはすべて指定席。それでも並んだのは、ウォーミングアップを見るためだ。
マナーで羽生に迷惑かけたくない
午前8時、ゲートが開くとファンが一斉に会場へ。小走りの人も目立つ。
午前8時半、コーチがリンク脇に姿をみせる。一斉にファンがざわつく。
「座ってよ! 全然見えないじゃない」と1人がつぶやいた。日本人ファンの間では、背もたれから10センチ以上身を乗り出さないことがマナーだという。「羽生ファンはマナーが悪い」と悪評が立って羽生に迷惑をかけるようなことはしたくない。でも五輪は海外のファンも多い。「アイドルじゃなくて、アスリートなんだから」
響くシャッター音「雑誌には載ってないですから」
5分ほどして、羽生がリンクへ。歓声とともに、シャッター音が響く。狙うショットはティッシュで鼻をかんだ時や、コーチと話す笑顔などだという。「雑誌には載ってないですから」
4人とも、羽生の姿を見るのは昨秋の大会以来。韓国入りした際も「迷惑がかかる」と空港には行かなかった。
自営業の女性、観戦費「高級車1台買えるくらい」
4人組のうち山梨県から来た自営業の女性(64)は、羽生の海外の大会すべてに出向く。年間の観戦費は「高級車が1台買えるくらい」。移動はビジネスクラス。コアなファンは独身や自営業の人が多いという。
一方、広島県の主婦(50)は海外での観戦は2度目。ファン同士の格差はないのか――。そう尋ねると「僕を通じて皆さんつながって下さい、ってユヅが言ってますから」と山梨の女性。フィギュアスケートを20年以上見てきたが「海外に通ってまで見たいと思ったのは、ユヅだけ」。
なぜなのか。「リンクの中でも…