業務停止命令を受けたビットステーションが入るビル=名古屋市中区
金融庁は8日、仮想通貨交換業者の登録審査中で「みなし業者」として営業をしているFSHO(横浜市)とビットステーション(名古屋市)に対し、改正資金決済法に基づく1カ月の業務停止命令を出したと発表した。マネーロンダリング(資金洗浄)対策や内部統制が整っていなかったとして、抜本的な改善を求めた。そのほか5社にも業務改善命令を出した。
停止命令を受けたFSHOは、高額な仮想通貨の売買があったときに資金洗浄の疑いがないか、確認をしていなかった。ビットステーションでは、同社幹部が顧客から預かっている仮想通貨を私的に流用していた。同庁はこのまま営業を続けさせられないと判断した。
改善命令を受けたのは、登録業者のテックビューロ(大阪市)、GMOコイン(東京)と、みなし業者のコインチェック(同)、バイクリメンツ(同)、ミスターエクスチェンジ(福岡市)と、停止命令を受けた2社。全社に、今月22日までに業務改善計画の提出を求めた。
顧客資産の仮想通貨NEM(ネム)約580億円分の不正流出を起こしたコインチェックへの処分はこれで2回目。同社は8日午後に記者会見を開いて、今後の業務方針について説明する。NEMの顧客補償の具体的な時期や手法についても明かすとみられる。
金融庁はまた、ビットステーション、来夢(らいむ、三重県鈴鹿市)、ビットエクスプレス(那覇市)のみなし業者3社から、登録申請を取り下げたいとの申し出があったことを明かした。同庁による監督の大幅な強化に伴い、対応が間に合わないと判断した模様だ。顧客資産の返還方法などを詰め、仮想通貨交換業を廃業することになる。
今回の大量処分のきっかけは、1月下旬にコインチェックが起こした仮想通貨の不正流出。同庁が一部の登録業者とみなし業者への立ち入り検査に入り、システムの安全性や顧客保護の仕組み、資金洗浄対策を調べたところ、複数の業者で問題が見つかったため、処分に踏み切った。同庁幹部は「法令が求める体制を、実効性をもって整えられていなかった」としている。