長官室を出て、うつろな表情で麻生太郎財務相の元へ向かう佐川宣寿国税庁長官(中央)=9日午後7時14分、東京・霞が関、関田航撮影
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学校法人「森友学園」の国有地取引をめぐり、財務省理財局長として国会答弁をしていた佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官が辞任しました。麻生太郎財務相の記者会見、政権幹部の動向や野党の反応をタイムラインで追います。
佐川国税庁長官が辞任の意向 森友学園問題で連日答弁
【ライブ中継】麻生財務相が会見、佐川長官辞任を説明
大臣室に入る佐川宣寿・国税庁長官=9日午後7時17分、東京・霞が関、越田省吾撮影
麻生氏、記者に皮肉で返す「麻生節」(20:00)
麻生太郎財務相は記者会見で、質問した記者に批判や皮肉で返す「麻生節」を随所で見せた。
シャッター音が相次ぐ中、質問者の声が聞こえないと「よく聞こえないからはっきり言った方が良い。相手(麻生氏)は年寄りだから」。指名を求める記者には「俺が(記者を)指名するんじゃない」などと、不快感をにじませた。
また、国税庁長官を辞任した佐川宣寿・前財務省理財局長の発言について問われると「直接本人に聞いたほうが良い。記者ってそういうもんじゃないの?」と切り返した。
こうした麻生氏に対し、「会見を見ていて、大臣自身の反省が全くないと見受けられる」と、質問の中で指摘する記者もいた。
安倍首相「佐川長官の人事は適材適所」
佐川宣寿理財局長は、昨年7月5日付で国税庁長官に就任した。
今年1月24日、枝野幸男氏(立憲民主)は衆院本会議での代表質問で、佐川氏の更迭を求めた。これに対し安倍晋三首相は「佐川長官の人事は他のすべての人事と同じく、適材適所の考え方に基づき行ったもの」として応じなかった。
確定申告が始まった後の2月19日の衆院予算委員会では、麻生太郎財務相が「確定申告の初日においてもさまざまなご意見があった」としつつ、「国税の分野での豊富な経験を生かし、佐川に関して、私どもは十分に職責を果たしていると認識している」と擁護した。
麻生氏、書き換え疑惑の調査結果「来週早々にも」(19:45)
麻生太郎財務相は記者会見で、財務省の決裁文書が書き換えられた疑いを受けた省内の調査結果について、「来週早々にも」明らかにする意向を示した。
麻生太郎財務相の元へ向かう佐川宣寿国税庁長官=9日午後7時16分、東京・霞が関、関田航撮影
一方で、佐川宣寿・国税庁長官を任命したことについては「長官として不適任という認識は私にはない」「きわめて有能だし、真面目だ」「(辞任は)正直残念だ」などと語り、今回の辞任への無念さものぞかせた。麻生氏自身の任命責任については「適任な人を信任したと思っている」と述べた。
立憲・福山氏「官僚に責任転嫁するだけでは済まされない」(19:45)
佐川宣寿・国税庁長官の辞任について、午後7時45分、立憲民主党の福山哲郎幹事長が「文書の改ざん疑惑が出てからお辞めになるのは、逆に改ざんの疑いがより深まった。官僚に責任転嫁をするだけでは済まされない。当然、政治の責任が問われる」と訴えた。
自民党の二階俊博幹事長と国会内で会談後、記者団に語った。福山氏は二階氏に対し、佐川氏の国会証人喚問を引き続き求めたほか、米朝交渉など国際情勢への対応について安倍晋三首相に国会で報告させるよう求めたと述べた。
麻生財務相、佐川氏辞任の理由を3つ挙げる
麻生太郎副総理兼財務相は9日夜、財務省で記者会見し、森友学園への国有地売却問題に関して理財局長時代に国会答弁に立っていた佐川宣寿・国税庁長官の同日付での辞任を発表した。辞任理由として、理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、混乱を招いたこと▽行政文書の管理状況について様々な指摘を受けたこと▽決裁文書書き換え疑惑に関して担当局長だったこと、の3点を挙げた。
首相官邸から財務省に戻り、大臣室に入る麻生太郎財務相=9日午後5時44分、東京・霞が関、越田省吾撮影
決裁文書書き換え疑惑については、財務省で調査を続け、来週早々にも公表するとした。
佐川氏について、国有財産の信頼を損ねたとして減給20%、3カ月の処分とした。「辞任後でも捜査当局の捜査や財務省の調査に協力させ、結果次第ではさらに重い懲戒処分になる可能性がある」と述べた。
麻生氏、佐川氏辞任「退職したいとの申し出があり…」(19:41)
午後7時41分、麻生太郎財務相の記者会見が財務省で始まった。
「佐川宣寿・国税庁長官から、局長時代の国会対応に丁寧さを欠き国会審議に混乱を招いたこと、行政文書の管理状況に指摘を受けていること、さらに今回取りざたされている決裁文書の国会提出の担当局長だったこと、などを踏まえて、国税庁長官の職を辞し退職したいとの申し出があり、本日付で退職させている」
佐川長官の辞任を明らかにした。
佐川氏、理財局長時の答弁「記録が残っていない」「適切な対応だった」
一連の問題発覚後、財務省理財局長だった佐川宣寿氏は「守り」の答弁に徹した。「記録」と「価格」にかかわる答弁が代表的と言える。
「法令等に基づく契約手続きの前に、近畿財務局から森友学園側に対して土地の鑑定価格等を示した事実はない」(2月23日、衆院予算委)
「同局と学園の交渉記録はない。面会記録は保存期間1年未満。2016年6月の売買契約締結で事案が終了しているので、記録が残っていない」(2月24日、衆院予算委)
佐川宣寿・国税庁長官の辞任に関する記者の質問には答えずに首相官邸を出る安倍晋三首相(中央)=9日午後6時31分、岩下毅撮影
「開校が遅れ、学園から損害賠償の訴訟が起こされるおそれがあった。埋設物の撤去費用を見積もって売買価格に反映することで学校建設を進めようとした対応は適切な対応だった」(3月6日、参院予算委)
佐川氏、無言で財務大臣室に(19:16)
午後7時16分、佐川宣寿国税庁長官が麻生太郎財務相の大臣室に入った。入室の際、「なぜ今まで出てこなかったんですか」などと問いかける報道陣にもみくちゃにされながら、無言を貫いた。
自民・二階幹事長、国会の3階に 沖縄から駆けつけ(19:00)
自民党の二階俊博幹事長が午後7時前、国会に到着し、3階の会議室に入った。
二階氏は6日の記者会見で、財務省の対応を「理解できない」と批判。7日夜には首相と会食している。8日から沖縄県石垣市長選の応援に出張しており、この日の帰京後、国会に駆けつけた。
安倍首相、無言で官邸を出る(18:30)
復興推進会議・原子力災害対策本部会議合同会合に出席するため、記者に囲まれながら首相官邸に入る麻生太郎財務相(中央)=9日午後5時10分、岩下毅撮影
安倍晋三首相は午後6時30分過ぎ、この日の執務を終えて首相官邸を後にした。官邸エントランスで記者団が「総理、佐川長官の辞任報道について一言お願いします」と、声かけ取材を試みた。首相は記者団のほうに視線をやったものの、言葉を発することはなく、硬い表情で歩き去った。
麻生財務相が午後7時40分から記者会見予定
麻生太郎財務相が午後7時40分から財務省で記者会見する。同省が午後6時前に日程を明らかにした。テーマは明らかにしていない。
佐川氏、初の国会答弁は昨年2月 「土地の『時価』でもって売却した」
国会の議事録を調べたところ、森友学園への国有地売却をめぐる一連の問題で、佐川宣寿氏が財務省理財局長として初めて国会答弁したのは、昨年2月15日だった。
衆院財務金融委員会で、宮本岳志氏(共産)が「なぜこのような非常識に低い価格で売却したのか」と質問した。佐川氏は「更地の不動産鑑定価格から埋設物を撤去する費用をきちんと見積もり、撤去費用を差し引いた、まさに土地の『時価』でもって売却した」と答弁した。
宮本氏は何度も追及したが、佐川氏は「いずれにしても、撤去費用は適正に算定されたものだ」との主張を変えなかった。
麻生財務相が首相官邸へ 記者団の問いには無言(17:10)
午後5時10分、首相官邸で開かれる会議のため、麻生太郎財務相が官邸入り。エントランスで、記者団が麻生氏にぶら下がり取材を試みた。「佐川氏の辞任の報道について今日ご説明されるご予定はあるのか」との問いに、麻生氏は無言で歩み去った。
報道各社は9日午後から相次ぎ、佐川宣寿国税庁長官が辞任の意向を固めたことを速報している。
希望・玉木氏「安倍首相自身も国会で説明を」 政府の対応を批判(17時前)
希望の党の玉木雄一郎代表は午後5時前、記者団に「なぜ佐川長官を辞めさせたのか、安倍晋三首相自身からも国会でしっかり説明をしてもらわなくてはならない。民間人になってしまうと証人喚問などで(国会に)呼ぶことが極めて困難になる。説明責任から逃げるための人事だ」と述べ、政府の対応を批判した。
国税庁長官室の前には多くの報道陣が待機していた=9日午後4時34分、東京・霞が関、関田航撮影
立憲民主、希望など野党6党は、財務省の対応に反発し、国会審議をボイコットしている。玉木氏は「事実隠蔽(いんぺい)に官邸を挙げて加担していると言わざるをえない。国会審議はとても正常化できない」。佐川氏の辞任は、国会審議をいっそう混乱させる可能性もある。
共産・小池氏「『佐川隠し』やってきた安倍政権の責任」(16:45)
午後4時45分、共産党の小池晃書記局長が国会内で記者団のぶら下がり取材に応じた。「森友問題に対する国民の深い怒り、さらに国会での追及によって追い込まれた結果だ」と指摘。同時に、「辞めて済む話ではない」と念を押した。
「森友文書」をめぐる野党合同ヒアリングで、財務省の富山一成理財局次長(手前左端)らから説明を聞く野党議員ら(奥)=9日午後2時21分、国会内、岩下毅撮影
小池氏は「文書改ざんの疑いが濃厚になっており、どう関与したのか、どのような指示が出されてきたのか、改ざんがあったのかも含めて厳しく問われる。理財局長時代に虚偽答弁だった可能性が極めて高い」と述べ、引き続き国会招致を求める考えを示したうえで、矛先を政権に向けた。「安倍晋三首相、そして安倍政権の責任だ。『適材適所だ』と言って擁護し、『佐川隠し』をやってきた安倍政権の責任は極めて重大だ」