前半、先制ゴールを挙げ、喜ぶ金崎(右から3人目)ら鹿島の選手たち=AFP時事
(13日、サッカーACL 鹿島1―1シドニーFC)
苦しい台所事情のなか、思い切った起用だった。鹿島は3日前のJ1広島戦から先発を8人入れ替えた。主力を休ませて、引き分けに持ち込んだ大岩監督は「出番の少ない選手が時間を追うごとに、しっかりと試合に入った。理想的だった」と高く評価した。
1点目のきっかけを作ったのは、高卒2年目で公式戦初先発となった左サイドバックの小田だ。前半27分、左CKからパスを受けると、右足を振った。「イメージ通りに蹴れた」。ゴールに向かって鋭く曲がる球に、相手DFがてこずった。こぼれた浮き球をFW金崎が押し込んだ。
Jリーグとの過密日程のなか、遠藤、内田らサイドのMF、DFにけが人が続出している。それでも大岩監督は若手を信頼してピッチに送り出した。J開幕前のACL2試合で主力を投入して、1勝1分けと順調に滑り出した「貯金」があったから腹をくくれた。
経験不足が表れたのは後半だ。ボールを奪われて、攻め込まれる場面が増えた。25分には自陣右深くから上げられたセンタリングに対して、小田は相手FWに競り負け、同点に追いつかれた。「試合に出ただけでは満足できない。次は自分が出て、勝ちたい」。顔にも浮かんだ悔しさは今後の糧となる。
鹿島は経験だけでなく、勝ち点1も積み上げた。H組の首位を堅守。2年連続での決勝トーナメント進出にまた一歩近づいた。(吉田純哉)