サヨナラ本塁打を放ち、本塁付近で仲間に歓迎される東海大相模の森下⑧
球児だけではない。監督同士も刺激し合っている。
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20日、千葉県で開催されている春季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)の2回戦で昨夏の全国選手権大会優勝校の花咲徳栄(埼玉)と今春の選抜4強の東海大相模(神奈川)が対戦した。花咲徳栄の岩井隆監督は1970年1月生まれで、相模の門馬敬治監督は69年12月生まれの同学年。毎年、練習試合をする間柄。前日に1回戦を勝った岩井監督は「攻めてきたときの門ちゃんはすごいよ。引かないからね」と対戦を楽しみにしていた。
この日は花咲徳栄が1―0でリードしていた五回に試合が動く。攻撃に臨むベンチ前の円陣を初回から選手だけで組ませていた門馬監督が、選手を集めた。「各打者が少し差し込まれていたので、直球なり変化球なり割り切って振っていくように話した」。すると、四回まで1安打だった打線は先頭から3連続長短打で逆転。さらに安打と四球で1死満塁、2番本間巧真(2年)が右中間席へ本塁打。3番山田拓也(3年)も右中間本塁打で続き、一気に7点を奪った。
しかし、花咲徳栄もこれで終わらない。六、八回に1点ずつをかえし、4点を追いかけて九回を迎える。先頭から2四球と安打で満塁、3番韮沢雄也(2年)が押し出し四球を選び、4番野村佑希(3年)が左犠飛。その後も犠飛と適時打で計4点を奪い、追いついた。「徳栄とやるときはいつもこうなるよね。夏の甲子園もそうだったじゃない」と門馬監督。左腕・小笠原慎之介(中日)らを擁した相模が全国制覇した2015年の97回大会準々決勝で対戦。相模が八回に追いつき、九回にサヨナラ勝ちしていた。
そして、この関東大会の結果は九回、相模の1番に座った強打者の森下翔太(3年)が2死走者なしからスライダーをとらえて左翼席へサヨナラ本塁打。高校通算47本目の一発で決着を付けた。
「目標設定ができる春になればと思っていたけど、相模にも力負けしないことが分かった。まだ課題はあるけど夏までに整備したい」と岩井監督が言えば、門馬監督は「互いに意識することで磨かれる」と話した。ちなみにこの世代には大阪桐蔭の西谷浩一監督や清峰(長崎)で選抜優勝を経験し、山梨学院で指揮を執る吉田洸二監督もいて、豪華な顔ぶれとなっている。(坂名信行)