ソウル市内の公園で、「コントロール可能なリード着用」などと呼びかける看板の横を通り過ぎる飼い主とペット(2017年10月、東亜日報提供)
韓国で、飼い主の不注意からペットが人を死傷させる事故が増えている。政府は1月、「リードを2メートル以内に制限する」などしたガイドラインを発表。違反事例の申告者に褒賞金を出す法改正も検討したが、世論の反発で22日からの施行を見送った。
韓国政府などによれば、ペットを飼う世帯は約593万世帯で約24%が飼い犬という。ペット急増で、飼い犬が人を死傷させる事故も、2012年の560件から16年は1019件に増えた。
政府は1月、飼い犬を土佐犬などの猛犬、体高40センチ以上などの管理対象犬、一般伴侶犬に分類。猛犬の幼稚園や小学校への立ち入り禁止や、散歩中の管理対象犬への口輪着用などを求めるガイドラインを発表。
昨年3月には、散歩中にリードを着用させなかった飼い主を申告した市民に対し、1万~10万ウォン(約千~1万円)の褒賞金を支払うなどとした動物保護法改正案を発表していた。
ところが、この法改正案を巡り、動物愛護団体などから「飼い主の意識を変える方が重要」「監視社会につながる」といった反対意見が続出。農林畜産食品省は21日、「十分な社会的合意を得られていない」として施行の見送りを発表した。(ソウル=牧野愛博)