膳所―日本航空石川 四回裏日本航空石川1死一塁、上田が左中間に適時二塁打を放つ。投手手塚、捕手石川唯=奥田泰也撮影
中堅左に打球が伸びる。打った日本航空石川の上田は、ぞっとした。「そこにおるんか」。追う膳所の左翼手星田は、してやったり。のはずが「思ったよりも伸びて、びっくりした」。四回1死一塁。大飛球はグラブをかすめ、先制の適時二塁打となった。
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航空石川は序盤、膳所の術中にはまっていた。北信越王者の強打も、データを元にした大胆な守備配置に絡め取られ、わずか1安打に。昨夏の甲子園でも4番を打った左の上田の場合、外野手が右中間、中堅、左中間のフェンス際を守り、最も長打を警戒された。
見たこともない陣形に少し戸惑った上田だが「自分たちの長所は打ち勝つ野球。強い打球なら抜けるはず」。強く振ったからこそ、シフト攻略の糸口は見つかった。
この一打で打線は活気づき、計11安打10得点。評判通りの打力を見せつけ、春の1勝目を手にした。(小俣勇貴)
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日本航空石川の重吉は、球場に到着してから先発を言い渡された。「一、二回は頭が白くなるほど緊張した」。それでも失点しなかったことで落ち着きを取り戻し、七回まで投げ、後続につないだ。勝利に貢献した2年生は「自己採点は50点ぐらいです。次に投げられたら、びびらずにやりたい」と言った。
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○中村監督(航) 選抜初出場で初戦を突破。「勝ててほっとしています。次の試合では、序盤から自分たちらしい強いスイングをして欲しい」