名古屋城天守閣=2018年4月、古庄暢撮影
名古屋市の河村たかし市長は14日、名古屋城木造新天守にエレベーターを設置しない方針について「(市長選や市議会の議決など)市民の選択で旧国宝のものを復元しようと決まった。もう一回さかのぼるのはおかしい」と障害者らに理解を求める考えを示した。一方、愛知県の大村秀章知事は「基本的人権の問題。より良い解決策を見いだして」と市に再考を促した。
名古屋城
「民意で本物を造ろうとなった。体が不自由な人も江戸時代のそれを感じたいんじゃないの」。河村氏は天守木造化を公約に掲げて4選した昨春の市長選を念頭に、記者団へ持論を繰り返した。障害者団体の抗議などについては「誤解がある。(新たなロボット技術の開発など)最もバリアフリーになる方法をいま考えとる」と釈明。直接会って説明する考えも示した。
一方、大村氏は同日の記者会見でエレベーター不設置について「基本的人権にかかわる極めて重大な事案だ」と繰り返し指摘。「障害者の基本的人権は尊重されなければならない。市は障害者と意見交換し、より良い解決策を見いだしてほしい」と注文をつけた。
障害者団体が県に救済措置を申し立てたことについては「厳粛に受け止める。障害者の権利条約や法律、条例の精神を踏まえ、より良い方向性が出せるように県としても精いっぱい努力したい」と話した。
市の方針を巡っては、県内の障害者団体が16日に記者会見し、反対声明を発表する予定だ。(関謙次、堀川勝元)