蒸気漏れのあった、玄海原発3号機の配管。配管を囲う金属の外装板にも、さびが見える(中央付近、九州電力提供)
九州電力の玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の配管の蒸気漏れで、同社が約11年前に配管の厚さを調べ、支障なく使える「寿命」が約47年間と判断していたことがわかった。その後配管の外装は外さず、そうした厚さの点検もせず、穴が開く兆候を見落とした。九電は今後、玄海4号機の配管も問題がないか調べる。
玄海原発、配管の穴は雨水が原因 同種配管すべて交換へ
九電によると、穴が開いた配管は炭素鋼製で、1994年の運転開始当初から使われていた。屋外にあって周囲を保温材で覆われ、その外側から薄い金属の外装板で覆われている。九電は穴が開いた原因について、外装板の隙間からしみ込んだ雨水を保温材が吸って湿り、配管の腐食が進んだためとみている。
穴が開いた配管は、水から余計なガスを取り除く「脱気器」につながり、放射性物質を含まない水や蒸気が循環する。九電は2006年度に実施した検査で配管の外装を外し、配管の厚さを確認しており、その後問題なく使用できる「余寿命」を約47年と計算した。次の同種の点検は当面、不要と判断し、今年3月の再稼働前までには実施しなかった。
ただ、寿命を判断した点検からまだ10年あまりで今回、蒸気漏れが発生。外装板には目につくさびもあった。稼働後の3月末にも目視で点検をしたが、穴は見つけられなかったという。
九電は3日、玄海3号機で穴の開いた配管以外の配管にも異常がないかを点検した。九電はこの配管を含む同種の配管16本を、保温材や外装板も含めてすべて取り換える方針。すでに再稼働した川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の配管の点検も検討するという。(山下裕志)