彦根東の増居
選抜高校野球 振り返り
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大会誕生から100年以上がたった高校野球。複数投手を擁しての戦いが、もはや甲子園の基本になった感がある。
ベスト8のうち、7校が先発投手を代えながら戦った。残る星稜も、竹谷―奥川の継投を確立していた。
中でも目を見張ったのが三重の投手起用。定本、福田が完投したあと、準々決勝は他の2投手で八回までしのいだ。ベスト8以外でも国学院栃木、近江などが複数投手を使いこなした。
投手の生きる道は球速だけではない。右横手投げの三重・福田は外角への制球力が抜群だった。同じチームに定本、山本大という速球派がいるため、腕の振りを下げて、球の切れと制球力を磨いたという。同校は左腕の吉井も登板した。
複数投手制の定着によって、個性派の投手が増えてきている。乙訓(おとくに)の川畑は低めへの制球力が抜群だった。左腕ではチェンジアップを駆使した花巻東・田中、カーブで打者を翻弄(ほんろう)した東海大相模・野口の投球が印象に残る。
高校野球のイメージにピッタリ合う大黒柱ぶりを発揮したのは彦根東の左腕増居。3回戦で花巻東を九回まで無安打に抑えた。十回に2安打を打たれて敗れたが、回転の利いた直球を制球良く投げ込んだ。
膳所(ぜぜ)はデータに基づく大胆な守備位置で高校野球ファンを驚かせた。21世紀枠3校は今年も勝利を挙げられなかったが、貴重な経験を次に生かして欲しい。(編集委員・安藤嘉浩)