日本原子力発電が再稼働と20年間の運転延長をめざす東海第二原発(茨城県、110万キロワット)について、原子力規制委員会の更田豊志委員長は11日、「夏以降に議論が残っているなら時間的に不可能だ」などと述べ、審査の打ち切りに言及した。原電による必要書類の提出などが遅れており、運転40年を迎える今年11月までに間に合わなくなる可能性があるという。
東海第二原発は、2014年から新規制基準への適合審査を受けている。今年11月下旬までに再稼働するための設置変更や設備の工事計画、20年間の運転延長の三つの許認可を得られなければ、廃炉を迫られる。
原電は今月5日、規制委が報告を求めた約1740億円の安全対策費について、東京電力ホールディングスや東北電力による資金支援の確約を得たと説明し、審査は一つの山場を越えた。ところが、工事計画の審査に必要な書類の4割が未提出で、設備の性能を確かめる試験も遅れており、結果がまとまるのは6月末になることが原電の説明から明らかになったという。審査担当の山中伸介委員は「サボタージュとさえ感じられ、怒りすら覚える」と遅れを批判した。
原電は、大手電力などが出資する原発専業会社。日本原子力産業協会の今井敬会長は9日、東海第二原発について「運転開始から40年を経過すると審査の結論が出る前に廃炉が確定する。このようなルールは合理的でないので見直してほしい」と述べるなど、業界には危機感が広がっている。(小川裕介)