(21日、プロ野球・ソフトバンク10―0日本ハム)
甘いフォークを捉えた打球が右中間へ抜ける。八回2死一塁。ソフトバンクの柳田は快足を飛ばし、三塁への送球が体に当たる間に滑り込んだ。「マジで奇跡。怖いです」。5打席目で適時三塁打を放ち、2016年の阪神・福留以来、史上65人目のサイクル安打を達成した。パ・リーグでは、07年のロッテ・ズレータ以来の快挙だ。
タカ柳田、自身初のサイクル安打達成 プロ65人目
一回、右中間席への先制ソロ本塁打から始まった。四回に中前安打、五回は中堅フェンス直撃の適時二塁打、六回は中前適時打。大記録へ三塁打だけを残した八回も、「自分のスイングをすることだけ考えた」とフルスイングを貫いた。三塁打での達成は両リーグ通じて15年ぶり。5安打4打点で、チームの連敗を2で止める原動力となった。
昨年から「飛球」を打つことを意識し、アッパースイング気味の打法に取り組む。本拠ヤフオクドームが長い人工芝に新調。ゴロは打球の勢いがそがれるため、打球に角度をつけた。春季キャンプから、大リーガーも愛用する器具で球をつり下げ、バックスピンをかける打ち方を磨く。この日の5安打は、すべて飛球とライナー。自身も1990年に達成した藤本打撃コーチは「俺とはレベルが違うよ。小さくならずにフルスイングできている」。
柳田が引っ張る打線は、今季最多の17安打と活気づいた。29歳の新選手会長は言う。「また明日という気持ちで、がむしゃらにやりたい」(甲斐弘史)
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○工藤監督(ソ) 柳田のサイクル安打について「最近は野球がむずい(難しい)と言っていたが、今日だけだったら簡単だったんじゃないかな」。
○村松・外野守備走塁コーチ(ソ) 自身も2003年にサイクル安打を達成。三塁コーチとして目の前で見届け、「達成した時に近くにいるのは、縁があるね」。
○中田(ソ) 8回無失点で2勝目。「球数が(130球と)多かったのは反省点。(五回に)打線が点をとってくれて気を緩めずやれた」
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▼柳田(ソ)がサイクル安打 21日の日本ハム戦で達成。プロ野球通算では2016年7月30日に福留(神)が中日戦で達成して以来、計65人で70度目。パ・リーグでは07年9月22日にズレータ(ロッテ)が楽天戦で達成して以来、計32人で33度目。球団ではダイエー時代の村松が03年7月1日の近鉄戦(大阪ドーム)で達成して以来4人目。