「日本仮想通貨交換業協会」の発足会見に出席した仮想通貨交換業者の代表ら=4月23日、東京都千代田区
金融庁に登録する仮想通貨交換業者が加盟する業界団体が23日、発足した。コインチェックの不正流出問題をきっかけに他の業者の態勢不備も露呈し、行政処分を受けるケースが続出。業界としても自主規制に取り組み、健全な取引環境を整えたい考えだ。
新団体「日本仮想通貨交換業協会」には登録業者16社すべてが加盟する。会長の奥山泰全(たいぜん)・マネーパートナーズ社長は会見で、「セキュリティー対策、内部管理の整備をしっかりやる。取引ルールや広告のあり方、開示していく情報の整理も速やかに進める」とし、「顧客の不安を払拭(ふっしょく)し、市場の健全な発展を目指して信頼回復を進めたい」と語った。
副会長の加納裕三・ビットフライヤー社長は「金融業者としての自覚を持っていく。これまでより厳しいセキュリティー対策も目指していく」と述べた。
協会は法的な裏付けのある「自主規制団体」となることを目指す。顧客保護や内部管理のルール作りに着手し、各社に順守を求める。業界の信頼を損なう行為をした業者に罰則などの処分を科すルールをつくることも検討。処分された業者が不服を申し立てられる制度も整備する方針だ。
仮想通貨業界では二つの業界団体が並び立ち、互いに反目していた。そうした中、国内の仮想通貨取引量は2017年度に69兆1465億円まで拡大し、業界が未成熟な中でコインチェックの問題が起きた。その後の金融庁の検査などで、他社でも顧客資産の流用などの問題が次々に発覚し、同庁は監督を厳格化。業界に対しても、統一団体による自主的なルールづくりを強く求めていた。
新団体には金融庁への登録業者が加盟したが、問題を起こしたり行政処分を受けたりした業者の多くは、登録申請中だが営業を許されている「みなし業者」だ。新団体はみなし業者にもルール順守を求めて連携を模索するが、実効性が伴うかが今後の焦点だ。奥山氏は「みなし業者に対して助言ができる状況をつくっていきたい。業界全体の発展が大切だ」と語った。(山口博敬)
日本仮想通貨交換業協会に加盟する16業者
マネーパートナーズ、QUOINE、ビットフライヤー、ビットバンク、SBIバーチャル・カレンシーズ、GMOコイン、ビットトレード、BTCボックス、ビットポイントジャパン、DMM Bitcoin、ビットアルゴ取引所東京、Bitgate、BITOCEAN、フィスコ仮想通貨取引所、Xtheta、テックビューロ(いずれも登録業者、順不同)