板門店での南北首脳会談を1面で伝える韓国主要紙=28日、ソウル、武田肇撮影
板門店での南北首脳会談から一夜明けた28日、韓国主要紙は1面に韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が抱擁する場面などの写真を大きく掲載した。ただ、会談の最大の焦点だった「非核化」で成果を出せたかどうかは評価が分かれた。
【ニュース特集】南北首脳会談
文政権に好意的な進歩(革新)系のハンギョレ新聞は、2ページを使って文氏と正恩氏が手を携えて軍事境界線を越える特大写真を掲載。板門店宣言に「完全な非核化」を共同目標にすることが盛り込まれたとして、「板門店の春」と題した社説で「北側に非核化の意思がないという疑念は確実に払拭(ふっしょく)された」と主張。6月初めまでの米朝首脳会談を前に「文氏は両国を仲介する好位置に浮上した」と称賛した。
これに対し、最大部数を誇る保守系の朝鮮日報は社説で、板門店宣言の非核化の言及はわずかな分量で「北の核廃棄について本当に深い議論があったのか疑わしいほど貧弱な内容」だと酷評。米朝会談の不確実性を減らすという役割は果たせなかったと主張した。
同じく保守系の東亜日報は「完全な非核化」の明文化は一定の成果としながら、核施設の査察や完成済みの核兵器廃棄の措置では合意できず「原則論的な宣言」だと評価。「会談が新しい歴史の出発になるかショーに終わるかは、正恩氏の迅速な実践にかかっている」と指摘した。
各紙ともに、正恩氏や妻李雪主(リソルチュ)氏が夕食会などで見せた打ち解けた姿については、好意的に手厚く紹介した。(ソウル=武田肇)