企業と社外取締役との間で認識のずれがある――。経済同友会が行った会員向けのコーポレートガバナンス調査で、社外取締役の資質や役割、機能について「十分な議論や合意がなされていない」と思われる結果が出た。このため、同友会は企業と社外取締役の双方への心構えを公表した。
調査は会員1460人を対象にファクスで実施。253人から回答があった。双方の立場で答えた人もいた。
「社外取締役の役割として期待されるもの」との問いでは、経営者の55・0%が「事業戦略・事業計画の精査・承認」を選んだのに対し、この回答を選んだ社外取締役は38・9%で、約16ポイントの差が出た。「社外取締役に期待している資質」との問いでは、経営者の62・2%が「専門分野の知見」を選んだが、この回答を選んだ社外取締役は26・8%にとどまった。
会見した同友会の経営改革委員会の小野寺正委員長(KDDI相談役)は「社外取締役の『数あわせ』に終わっている面もある」と指摘する。その上で、企業には「社会的な地位や個人的な関係ではなく、企業価値向上に貢献してくれる人材であること」などを、社外取締役には「執行側との衝突、摩擦を恐れず、役割を全うすること」などをそれぞれ心構えとして求めた。