北朝鮮の金桂寛(キムゲグァン)第1外務次官が25日に発表した談話の全文は次の通り。朝鮮中央通信が報じた。
トランプ氏「我々の核能力は強大」 北朝鮮の声明に怒り
米朝首脳会談、中止
◇
朝鮮民主主義人民共和国外務省第1次官、金桂寛は25日、委任に従って次のような談話を発表した。
今、朝米間には世界が並々ならぬ関心の中で注視している歴史的な首脳対面が日程に上り、その準備も最終段階で進められている。
数十年にわたる敵対と不信の関係を清算し、朝米関係改善の新たな里程標をもたらそうとする我々の真摯(しんし)な模索と積極的な努力は、内外の一様な共感と支持を得ている。
そのような中で24日、米国のトランプ大統領が突然、既に既成事実化されていた朝米首脳対面を取り消すという公式の立場を発表した。
トランプ大統領はその理由について、我々の崔善姫(チェソンヒ)外務次官の談話の内容に「激しい怒りとむき出しの敵意」が盛り込まれているからであると述べ、以前から計画されていた貴重な出会いを持つのは現時点では適切でないと明らかにした。
私は、朝米首脳対面に対するトランプ大統領の立場表明が朝鮮半島はもちろん、世界の平和と安定を願う人類の念願に合致しない決定であると断定したい。
トランプ大統領が取り上げた「激しい怒りとむき出しの敵意」は事実上、朝米首脳対面を控えて一方的な核廃棄の圧力をかけてきた米国側の度を越した言行が招いた反発にすぎない。
この忌まわしい事態は、歴史的に根深い朝米敵対関係の現在の実態がどれほど重大であり、関係改善のための首脳対面がどれほど切実に必要であるのかをそのまま示している。
歴史的な朝米首脳対面について言うなら、我々はトランプ大統領が過去のどの大統領も下せなかった勇断を下して首脳対面という重大な出来事をもたらすために努力したことを依然として内心高く評価してきた。
ところが、突然、一方的に会談の取り消しを発表したのは、我々としては予想外なことであり、極めて遺憾に思わざるを得ない。
首脳対面に対する意志に欠けてか、もしくは自信がなかったせいか、その理由については推し量り難いが、我々は歴史的な朝米首脳の対面と会談そのものが対話を通じた問題解決の第一歩であり、地域と世界の平和と安全、両国の関係改善に意味のある出発点になるものとの期待を持って誠意ある努力を尽くしてきた。
また、「トランプ式」が双方の懸念を共に解消し、我々の要求条件にも合致し、問題解決の実質的な作用をする賢明な方案になることをひそかに期待したりもした。
我々の国務委員長(金正恩〈キムジョンウン〉朝鮮労働党委員長)も、トランプ大統領と会えば良いスタートを切ることができると述べ、そのための準備に全力を傾けてきた。
にもかかわらず、米国側の一方的な会談取り消しの公表は、今まで傾けた努力と我々が新たに選択して進むこの道が果たして正しいのかということを我々に再び考えさせている。
しかし、朝鮮半島と人類の平和と安定のために全力を尽くそうとする我々の目標と意志には変わりがなく、我々は常に寛大で開かれた心で米国側に時間と機会を与える用意がある。
一度で満足な結果を得られないが、一つずつでも段階別に解決していくなら現在より関係が良くなるはずで、より悪くなるはずはないことぐらいは米国も深く熟考すべきであろう。
我々は、いつでも、いかなる方式であれ対座して問題を解決する用意があることを米国側に改めて明らかにする。