米ワシントン州の連邦地裁は7月31日、銃擁護派団体が目指す3Dプリンターで製造できる銃の設計図の公開について、「取り返しのつかない害がある」として一時差し止めを命じた。団体側は米政権との裁判での和解に基づき、1日からの公開を予告していたが、銃規制派と民主党議員が反発。ワシントン州などが提訴していた。
設計図の公開を目指しているのは南部テキサス州の団体「ディフェンス・ディストリビューテッド」。3Dプリンターを使って、プラスチックの樹脂などを材料に製造できるという。2013年に一度公開したが、米国務省の防衛機器の輸出入を規制する部門からの求めに応じてデータ公開を停止。一方で表現の自由を掲げて国を提訴した。
銃規制派は、製造番号がなく、金属探知機でも検知できない銃が、多くの人に広まる懸念を示したが、トランプ政権は6月に「3Dプリンター銃は規制対象となる戦争に使う武器にはあたらない」などとして和解に応じ、公開を許可した。
トランプ大統領は7月31日のツイートで、銃規制に反対する政治団体「全米ライフル協会」(NRA)と話し合っているとし、3Dプリンター銃が広く利用されることが「理にかなうとは思えない」と懐疑的な見方を示した。NRAは、金属探知機で検知できない銃の製造や所持はすでに違法だとし、3Dプリンター銃が広まることはないとの立場だ。(ワシントン=香取啓介)