トランプ政権の下で広がる米国の「分断」を巡り、トランプ米大統領と、米プロバスケットボールNBAのスーパースター、レブロン・ジェームズ選手(レイカーズ)が激しく対立した。NBA選手やメラニア夫人がジェームズ氏を擁護し、舌戦は「ワンサイドゲーム」になっている。
レブロン氏はこのほど、CNNキャスター、ドン・レモン氏のインタビュー番組で、トランプ氏が国歌斉唱時にひざをつく米プロフットボールリーグ(NFL)の選手を批判していることに触れ、「トランプ氏は我々を分断するためにスポーツを使っている」と批判。「私はスポーツで初めて白人と知り合いになった。これこそスポーツのおかげだ」と話した。
これが3日夜に再放送されると、トランプ氏は突然、「大馬鹿のレモンはレブロンを賢く見せようとしたが、簡単でなかった。私はマイクが好きだ!」とツイート。NBAで「神様」と呼ばれたマイケル・ジョーダン氏の名前を引き合いにして、ジェームズ氏にかみついた。
現役最高選手で「王様」と称されるジェームズ氏と、史上最高選手とされる「神様」ジョーダン氏のどっちが偉大なプレーヤーかという論争に、トランプ氏も加わる形でジェームズ氏をこき下ろそうとした。
ジェームズ氏は先月、生活に苦しむ子どものための学校をつくるなど社会的な取り組みでも知られ、2016年の米大統領選では、民主党のクリントン候補を応援した。
NBA選手らは4日、一斉にジェームズ氏を支持する発言を始めた。優勝チームがホワイトハウスに招かれる慣例を嫌がり、トランプ氏から批判された経験のあるウォリアーズのステフィン・カリー選手は「キング・ジェームズ、やり続けて」と支持した。ウィザーズのブラッドリー・ビール選手も、「あなたには疲れた」とトランプ氏を批判した。
米メディアによると、ジョーダン氏も同日、広報担当を通し「レブロン・ジェームズを支持する。彼は地域に素晴らしいことをしている」とコメント。トランプ氏の妻のメラニア氏まで、広報担当に「ジェームズ氏は、次世代のために良いことをするよう努めている」と語らせた。
分が悪いとみたのか、トランプ氏は4日夜、ジェームズ氏の地元オハイオ州で演説したが、この問題には触れずじまいだった。(コロンバス〈米オハイオ州〉=土佐茂生)