昼間の熱が残る都立公園の一角で、あばただらけの壁面が街灯に照らされている。ガラス窓には、団地のあかりがきらめいていた。
東京都東大和市にある旧日立航空機株式会社変電所。1938年、軍需工場の給電施設として稼働。戦争末期に3度に及ぶ空襲にあい、工員やその家族ら111人が亡くなった。変電所は嵐のような銃撃にさらされながらも致命的な爆撃を免れ、終戦後も半世紀近く働き続けた。
公園を整備する際に取り壊しも検討されたが、市民らが声を上げ、戦争の悲惨さを雄弁に物語る戦災遺構として保存にこぎ着けた。
建設から今年で80年。老朽化は著しく、市は「ふるさと納税」などで修繕のための資金を集めている。(写真・文 越田省吾)