キミとどたばた 文筆家・内田也哉子さん
19歳で結婚。21歳で長男雅樂(うた、20)を出産しました。夫は細やかに育児を手伝ってくれましたが、仕事で不在がち。子どものニーズにこたえ続ける毎日を過ごすうちに「自分を捧げてなくなるような感覚」になり、育児ノイローゼ寸前まで落ち込みました。
我が家は、孫が多様な価値観に触れて育つ方がいいという母の提案で二世帯住宅です。そこで、身近にいる母に相談したら「私は日々忙しすぎて自分の不安と向き合う暇さえなかった。全然分からないわ」と一蹴されました。
そんな頃、ある人から「何か書いてみて」と原稿用紙とペンが送られてきた。まずエッセーを書き、会いたい人と対談して印象に残ったことを書くようになりました。自分ってなんだっけ? と考える時間に救われました。家族以外の人と出会い、社会とつながることが私には必要だと分かりました。
長女伽羅(きゃら、18)の時は母乳がでなくて悩みました。先輩ママに相談すると「いっぱい転んで、自分の子育てを見つけていけばいい」という言葉を頂きました。今もこのスタンスです。
私は「鍵っ子」だったからか、絵本でも映画でも、どこか、さみしさがあるものが好き。でも、「子どもには夢を持てるような作品に触れさせてあげないといけないのに」と葛藤していました。そんな時、詩人の谷川俊太郎さんと対談する機会を頂きました。
谷川さんは「偏っていいんだよ…