「児童文学のノーベル賞」と言われ、長年子どもの本に貢献した作家や画家に贈られる国際アンデルセン賞の授賞式が31日、ギリシャのアテネであり、「魔女の宅急便」などの作者として知られる角野栄子さん(83)に、作家賞の賞状とメダルが授与された。 国際アンデルセン賞は2年に1度、国際児童図書評議会(IBBY)が選考。日本人で作家賞を受賞したのは、まど・みちおさん(1994年)、上橋菜穂子さん(2014年)に次いで3人目。 角野さんは授賞式でのあいさつで、第2次世界大戦中に10歳だったと振り返り、「あの過酷な時期を本によって、どれほど慰められ、生きる勇気を与えられたか」と述べた。5歳で母を亡くし、泣いてばかりいたとき、父がひざの上で昔話を聞かせてくれ、物語が大好きになったエピソードなどを紹介。「物語は読んだ瞬間から読んだ人一人ひとりの物語になり、その人の言葉の辞書になっていく。その辞書から想像力が生まれ、人の世界を広げ、つらいときも助けてくれる」。そして、絶えない争いや災害などを念頭に、「今は難しい時代」とした上で、「地域を越えて、物語には大きな力があると信じています」と語った。 角野さんは70年の作家デビュー以降、映画化もされた「魔女の宅急便」シリーズをはじめ、200作以上の著書を刊行したほか、多数の翻訳も手がけてきた。初めて自分で読む幼年童話にも力を注いで来た。 選考で特に着目されたのが、日本に根ざした物語と、作品に登場する少女や女性の自立心だ。IBBYは「角野の描く女性はどんな困難に出会っても、忍び寄る自己不信にとらわれることなく対処法を見つけていく。人々が本の中に求める、今の時代にふさわしい作品」と評した。(アテネ=中村靖三郎) |
角野栄子さん「物語は言葉の辞書」アンデルセン賞授賞式
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
わかり合えない誰かと生きる ちぐはぐな女性3人の物語
結婚と冒険の不確実性とリスク 「極夜行」角幡さん語る
ゴリラと文学ってそう違わない 小川洋子×山極寿一対談
沖縄をどう詠むか 若手俳人が訪ねた沖縄俳句の生き証人
漱石が語る文学観 作家は「如何に世の中を解釈するか」
「悲しい、悲しいなあ」新源氏主演の元月組トップ
宮本輝さん「田辺先生、古典の教養教えて下さる大教師」
田辺聖子ほど無常を描く作家を、私は知らない 川上弘美
路上で寝れば本買える 金と色狂った末、執念のデビュー
きつい関西弁、解禁したら三島賞 舞台は愛憎渦巻く土地
津原さん「社長発信の影響力、考えて」 幻冬舎の謝罪に
「日本国紀」批判にどう答える 著者の百田尚樹氏に聞く
幻冬舎社長ツイートに批判 「日本国紀」巡り作家と対立
幻冬舎の部数公表「ダメージなし」津原泰水さん一問一答
65万部発行「日本国紀」とは? 盗用疑惑に異例の修正
もしアトムが18歳になったら 黒田征太郎さん創作絵本
村上春樹さん、亡き父の戦争体験つづる 文芸春秋に寄稿
「トリセツ本」不安な夫の救世主? 妻の不倫、相談増加
ドールも登山「ヤベェ」山岳誌、インドア派にもアピール
寂聴さん「世界の名作は不倫」 草食男子、信じられない
造語だらけの小説、でもすらすら読める 奇妙な世界観
「楽しさ突き抜けて」 歌舞伎好き作家が挑む文楽小説
本屋大賞に瀬尾まいこさん「そして、バトンは渡された」
朝井リョウが問う価値と質「肩書が急に直木賞作家に…」
妻のトリセツが説く脳の性差 東大准教授は「根拠薄い」










