全国の書店員が一番売りたい本を投票で選ぶ第16回本屋大賞が9日発表され、瀬尾まいこさん(45)の長編小説「そして、バトンは渡された」(文芸春秋)に決まった。
受賞作は、幼くして母を亡くし、血縁のない大人たちにリレーされるように育てられた女子高校生の成長物語。義父らとの日常を通し、多様な家族の形を問いかける。瀬尾さんは中学の元国語教諭で、奈良市在住。2001年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年に作家デビュー。05年に「幸福な食卓」で吉川英治文学新人賞を受賞している。瀬尾さんは東京都内での発表会で「じわじわ喜びを感じるものかと思ったのですが、この舞台まで走って、ゴールテープを切ったような鮮やかな喜びがあります。身内のように私の本に愛情を注いでくれた書店員の皆さんには感謝しかありません」と話した。
本屋大賞は17年12月~18年11月に出た日本の小説が対象。全国493書店の店員623人が1次投票で10作に絞り、2次投票で大賞を決めた。(宮田裕介)