北欧スウェーデンの首都ストックホルムで、地元警察が中国人観光客を粗暴に扱ったとして、中国政府がスウェーデン政府に抗議し外交問題化している。ただ、中国内でも「観光客側にも問題があった」との声が上がっている。
中国側の報道によると、中国人の家族3人が今月2日未明にストックホルムのホテルに到着した。満室でチェックインできなかったためロビーで休もうとしたが外に出るよう求められ、拒んだところ警察を呼ばれ追い出されたという。
家族は「警察が両親に暴力をふるった」と中国メディアに訴え、SNS上でも警官が高齢の男性を路上に運び出す映像が広まり、中国で怒りの声が広がった。
これを受け、中国の在スウェーデン大使館は「粗暴な対応に驚きと怒りを感じる」と表明し、スウェーデン政府に調査と謝罪を要求。スウェーデン捜査当局は「違法行為はなかった」とし、ホテル側は「他のホテルを探そうとしたが家族が従業員を怖がらせたので警察に通報した」と説明した。
一方、中国でも自国民の海外旅行時のマナーの悪さが問題になっており、「予約がないのに騒げば警察を呼ばれるのは当然」と3人のマナー違反を指摘する声が出ている。中国政府の厳しい批判の背景には、対立するチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が先週スウェーデンを訪問したことがあるとの見方もある。(北京=延与光貞)