仮想通貨ビットコインの世界最大の取引所を運営し、利用者から預かった金を着服したとして、業務上横領などの罪に問われた「マウント・ゴックス」元最高経営責任者(CEO)マルク・カルプレス被告(33)の公判が12日、東京地裁であった。検察側は論告で「会社を私物化して多額の金を使い込み、利用者の信頼を裏切った」と述べ、懲役10年を求刑した。
マウントゴックス民事再生へ 仮想通貨高騰で破産を変更
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検察側は、被告が2013年9~12月、会社と無関係の事業を買収する費用や生活費のため、利用者から預かった現金約3億4千万円を着服したと指摘。現金の性質が預かり金ではなく、会社に計上された売り上げだとしても会社法違反(特別背任)罪が成立すると主張した。弁護側は「着服にあたらない」などとして無罪を主張している。27日に最終弁論があり、結審する予定。
同社は14年2月、管理していた85万ビットコイン(約465億円相当)がサイバー攻撃を受けて盗まれたと発表し、経営破綻(はたん)した。警視庁は、データを書き換えてコインが消えたように見せかけ、一部を着服したとみて、15年8月に被告を逮捕した。(岡本玄)