米国務省のナウアート報道官は22日、北朝鮮が制裁逃れのために洋上で荷物を積み替えて密輸する「瀬取り」の取り締まりに関し、国際社会が国連安全保障理事会の決議を履行するよう求める声明を出した。米国は「瀬取り」にロシア船が関与したと非難している。27日には北朝鮮問題をめぐる安保理会合が開かれる予定で、制裁緩和の動きを見せるロシアや中国を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
ナウアート氏は声明で「北朝鮮は制裁逃れのために定期的に偽装手段を使い続けている」と批判。その上で、「米国は、北朝鮮の違法行為に協力した個人、団体、船舶についてはいかなる国籍であっても、制裁を科すことをためらわない」と強調した。
ヘイリー米国連大使は17日の安保理会合で、北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが8月に作った報告書の原本から、ロシアの制裁違反の証拠に関する記述が、ロシアの干渉で削除されたと批判。これに対し、ロシアは激しく反発している。
米国は北朝鮮が非核化するまで、安保理決議に基づく制裁を国際社会が維持するように求める立場だ。今回の声明は、改めて米国の制裁履行を求める強い姿勢をロシアや中国に対して示す狙いがあるとみられる。(ワシントン=園田耕司)