2020年東京五輪から新競技として採用されるサーフィンの世界選手権が22日まで愛知県田原市であった。日本が団体で初の金メダルを獲得する活躍を見せた一方で、決勝の急な日程変更や採点基準のわかりにくさなど、競技になじみの薄い観客への“アピール力”では課題も見えた。「サーフィン界の常識」は果たして五輪になじむのか。
「カノア、最高だったよ!」。19日にあった男子決勝。日本勢初のメダルとなる銀を獲得した五十嵐カノア(20)=木下グループ=が砂浜にあがると、スマホを手にした多くのファンが取り囲んだ。「ありがとう」と握手する五十嵐。歩きながら撮影しようとする報道陣も合わせ、約100人近くに取り囲まれながら移動した。
他の競技ではあまり見られない光景だが「ファンとの近さがサーフィンの魅力。クールな演技をした選手をみんなでたたえる雰囲気がある」と大会スタッフは言った。
大原洋人(21)は、東京五輪が開かれる千葉県一宮町がホームだ。自国開催のファンの応援を歓迎したが、不安も吐露した。「これより人が増えるとどうなんだろうって。自分はまだファンが近づいてくれてうれしいと思っている。慣れるようにしていきたい」
42カ国、197選手が参加した大会で、連日5千~1万人の客を動員。ファンの声援にも後押しされ、男女6人の平均年齢が20・16歳の「波乗りジャパン」も躍動した。世界最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)の合間を縫って出場した五十嵐は「日本のレベルの高さを証明できた」と胸を張った。
気象条件に左右
東京五輪本番を見すえると、新競技を普及させるにはいくつかの課題が浮き彫りになった。
サーフィンは気象条件に左右されるだけに、急な日程変更が多い。当初、21日に予定されていた男子決勝は「週末にかけて天気が崩れる」という予報をもとに、2日も前倒しで行われた。18日は3回戦から準決勝までの4試合を一気にこなした。当初は2試合程度を想定しており、選手たちも「さすがに1日4試合はない」と疲れていた。
好条件の波を提供したいという…