12日のパナマ戦(新潟)、16日のウルグアイ戦(埼玉)に臨むサッカー日本代表で、今回唯一の初選出となったのが、22歳のFW北川航也だ。信条は「継続すること」。所属するJ1清水出身の先輩で、代表で長く主力を担った岡崎慎司(レスター)の直伝だ。プロ入り以来ずっと継続していることの中には、独特の「決めごと」もある。
選出「本当にビックリ」
8日に新潟県内で始まった代表合宿。ランニングでは笑顔も見せていた北川だが「率直に緊張しますね」と話した。今回のメンバーには、16強入りした今夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会の主力もいるからだ。
世代別の日本代表ではプレーしたが、A代表には初めて選出された。7日にあったJ1磐田との静岡ダービーで2得点2アシストで5―1の勝利に貢献。日付が変わった8日未明に、けがで不参加となったFW小林悠(川崎)の代わりに追加招集されるという連絡を受けた。「本当にビックリした」という。
自身の特長は「相手のDFラインの背後に抜ける」動き。ジュニアユース(中学年代)から清水の育成組織で育った北川にとって、トップチームで輝いていた岡崎が得意とするプレーだ。「手本として練習してきた」。その岡崎が海外移籍するまで背負っていた23番をつけ、プロ4年目の今季は初のシーズン2桁となる11点を挙げた。
LINEで連絡取り合う仲
岡崎とは2年ほど前に清水の関係者とともに食事をした。以来、LINE(ライン)で連絡を取り合う仲に。今年8月~9月にかけて、無得点が9試合続いたときも相談した。「シュートを打ち続ける、ドリブルでしかけ続ける、プレスをかけ続ける、クロスに入り続ける」。大切なのは、継続すること。返ってきた言葉を信じて練習を続け、今月7日の磐田戦で3試合連続ゴールを達成した。
プレー以外にも、継続していることがある。独特な気持ちの切り替え方法だ。試合前練習と試合前半、それぞれ終わったところで、ユニホームからソックスまで全てを着替え、さらにスパイクまで履き替える。理由は「その日に何も使っていない状態でサッカーがしたいから」。汗がしみていないまっさらな用具で、フレッシュな状態で気持ち良くプレーする。プロ入りした頃から続けているという。
スパイクまで履き替えるのは、「他にあまりいないかもしれない」と笑う。そのルーティンは、「代表でもやれればと思う」。継続は、力となる。(勝見壮史)