インターネット交流サイトのフェイスブック(FB)から全世界で約5千万人分の情報が流出したおそれが出ていた問題で、米FB社は12日、最新の調査で、約2900万人分の氏名や連絡先などの個人情報が盗まれていたことが分かったと発表した。これまでデジタル上の「鍵」が盗まれた可能性は出ていたが、実際には携帯電話番号など大量の具体的な個人情報が流出していた。
鍵を盗まれた人の数は当初の見込みよりも少なかったが、具体的に個人情報を盗まれた人の数が2900万人に上ったことで、より深刻な事態であることが明らかになった。
同社の9月28日の発表では、FB上でログイン状態を保つためのデジタル上の鍵である「アクセストークン」を盗まれた恐れがある利用者は、約5千万人だとしていた。12日の発表では、盗まれた人の数は約3千万人だったと説明した。
ただ、この鍵を使うと、アカウントを乗っ取ったり、個人情報を盗んだりすることができる。
同社によると、この約3千万人のうち、約1500万人は鍵を悪用され、氏名と連絡先の情報が盗まれていた。連絡先には、携帯電話番号やメールアドレスが含まれているという。
また約1400万人は氏名と連絡先に加え、生年月日や性別、婚姻の有無などの「交際ステータス」、最近訪れた場所といった情報も盗まれていた。残りの100万人は、鍵を盗まれただけだったという。
同社は、個人情報が悪用された事例は現時点では確認されていないとするが、今後も調査を続けるという。自分の情報が漏れたかどうかは、同社のヘルプセンターで確認できるようにしていると説明している。
問題の発端になったのは、FB上でプロフィル情報が他人からどう見えるのかを利用者が確認できる「プレビュー(ビューアズ)」の機能の欠陥だった。昨年7月から1年以上放置され、ログイン状態を維持するための鍵の情報を、ハッカーが盗み取れる状態になっていた。
FBはこの欠陥に9月下旬に気づき、修復すると共に、影響を受けた可能性がある全世界の9千万人分の利用者について、FBからいったん強制的にログアウトしていた。(サンフランシスコ=尾形聡彦)