その複雑さから地下迷宮を表す「ダンジョン」とも呼ばれる大阪・梅田の地下街。JR西日本は、利用者のスマートフォンを使って簡単に道案内するシステムを導入する。訪日外国人の増加もきっかけに、全国で同様の取り組みが加速している。
スマホのカメラを起動して進行方向を映し出すと、そこに矢印が表示される。矢印に従って階段を上り、人混みをかき分けて進むと、無事、目的地に到着した。
スマホにはパナソニックが開発したアプリ「OSAKA UMEDA ARナビ」をダウンロードしておけばよい。AR(拡張現実)とは、現実の映像に仮想のイラストや文字を重ね合わせる技術。JR大阪駅を起点に、阪神百貨店や梅田スカイビルなど、駅周辺の33施設へ案内してくれる。日英中韓の4カ国語に対応し、3月中旬にもサービスを始める予定だ。
地下はGPS(全地球測位システム)の電波が受信しにくい。無線通信も大勢の人がいる場所では使いにくい。
パナソニックの技術は「光ID」と呼ばれ、光の点滅や明暗によって情報を伝えるものだ。大阪駅構内に電子案内板を9カ所設置し、そこにスマホをかざすだけで道案内の情報を得られるようにする。
その後は、カメラの画像とあらかじめ登録されている画像を、照らし合わせながら案内する。
JR西によると、訪日外国人の増加で駅員に道をたずねる人が急増。外国語が出来る駅員を増やすにも限りがあるため、サービスの導入を決めた。今後、京都駅や新大阪駅など外国人の利用が多い駅への導入も検討する。
道案内の自動サービスは、他社も進めている。
近畿日本鉄道は昨年、スマホを使った訪日客への道案内の実験を、近鉄奈良駅で行った。
JR東日本では、昨年12月から東京駅や品川駅など6駅24カ所にAIロボットを設置し、駅の店や周辺のホテルなどを案内する実験を開始。首都圏では、JRや私鉄が駅構内のデータをIT企業に提供し、移動用のスマホアプリをつくってもらう試みもある。(神山純一)