サラリーマンとしてしっかり働き、週末や祝日になると目いっぱい音楽活動を展開している大阪のロックバンド「ナードマグネット」が元気だ。1年間に出演するライブは50本以上。結成12年を迎え、自然体で音楽を楽しんでいる。
ナードマグネットはボーカル・ギターの須田亮太さん(32)、ギターの藤井亮輔さん(30)、ベースの前川知子さん(33)、ドラムの秀村拓哉さん(31)の4人。旧大阪外国語大学(現大阪大学)の軽音楽部で須田さん、前川さん、秀村さんの3人が2006年に結成した。その後、ギタリストが加入し、12年、藤井さんに交代した。
須田さんは09年、生命保険会社に就職し、福井市に配属された。営業職として数字に追われるなか、毎週末、車で3時間かけて大阪に通い、活動を続けてきた。「仕事がしんどかったので、ストレス解消になった。開放感があり、自分は音楽が好きだと実感した」と振り返る。
その3年後、バンドにとって大きな出来事が重なった。ソニー・ミュージックレーベルズのキューンミュージックのオーディションに参加し、約4千組の中からファイナルの11組に残った。しかし、この時の優勝者は「KANA―BOON」。その後、ギタリストは藤井さんに代わり、須田さんは大阪に転勤した。
須田さんは心機一転、それまで曲ごとにバラバラだった音楽性を統一しようと決意。大好きなアメリカの人気バンド「ウィーザー」に代表されるジャンル「パワーポップ」に焦点を定めた。明るくキャッチーなメロディー、やや重厚なギターが特徴だ。
大阪を中心にライブを重ね、16年にインディーズレーベルと契約。初のフルアルバムをリリースした。17年にミニアルバム、今年は両A面シングルを出した。
バンド結成から12年。須田さんは「メジャーデビューを目指し、色々なものをかなぐり捨てていたら、心が折れていた。就職しているから、ライブの動員数やCDの売り上げなど、数字ばかり気にしなくて済んだ」と振り返る。今後の活動について「今の形で精いっぱいしたい。目標はフジロックの(最も大きな)グリーンステージ出演と、ウィーザーとの共演」と話し、「中学生みたいでしょ」と笑った。(鈴木洋和)
◇
次回のワンマンライブは10月28日、大阪・梅田のバナナホールで開催。前売り3千円、当日3500円。ドリンク代600円が必要。