米トランプ政権は17日、国際郵便を扱う国際連合の専門機関、万国郵便連合(UPU)から脱退する手続きに入ると発表した。中国などから米国への郵送代金が安く設定され、米郵政公社や企業が不利になっているとの理由だ。今後1年以内に各国と交渉し、納得できる進展がなければ正式に脱退する方針だ。
UPUは1874年に設立された国際機関で、国際郵便の規則などを定める。国際郵便では、UPUの取り決めに従い、発送した国で集めた代金のうち、「到着料」と呼ばれる一定額を目的地の郵便当局に支払う。トランプ政権は、通商紛争を続ける中国などを念頭に、米国への到着料の水準が安すぎると主張してきた。
米国務省は「到着料を米国が一方的に決められるようにすべきだ」とする勧告をトランプ大統領に示し、トランプ氏が合意した。電話会見した米政権高官は、現在のUPUの取り決めについて、「米郵政公社に大きな負担をかけ、そのコストが国内の郵便代金にしわ寄せされ、米国のメーカーや労働者が不利な状況に置かれている」と主張した。
さらに高官は、中国のほか、独仏などもUPUの取り決めから利益を得てきたと批判。一方で、「UPUには利点もあり、可能であれば残留したい」と述べ、今後、こうした国々と交渉する方針を示した。(ワシントン=青山直篤)