トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館でサウジ人記者ジャマル・カショギ氏が殺害された疑惑を受けて、ムニューシン米財務長官は18日、サウジの首都リヤドで23~25日に開かれる国際経済会議「未来投資イニシアチブ」に参加しないと発表した。国際通貨基金も16日、ラガルド専務理事の不参加を発表。疑惑への関与が取りざたされるサウジ政府に対し、説明を求める国際社会の圧力が高まっている。
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ムニューシン氏は18日、ツイッターで「トランプ大統領とポンペオ国務長官と会い、未来投資イニシアチブに参加しないことを決めた」と投稿した。
米国は武器輸出や石油購入でサウジと結びつきが強く、トランプ氏はサウジを擁護する発言を繰り返している。しかし、ムハンマド皇太子に近い複数の男がカショギ氏殺害に関与した疑いを米紙ニューヨーク・タイムズなどに報じられ、国際社会でサウジに説明を求める声が高まっていることから、ムニューシン氏は不参加を決めたとみられる。
未来投資イニシアチブはムハンマド皇太子の肝いりで開催され、皇太子が主導するサウジの経済・社会構造改革を国際社会にアピールする予定だ。昨年は90を超える国々から3800人以上が参加した。
しかし、今年はカショギ氏の殺害疑惑を受けて、米銀最大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長ら欧米の金融機関幹部や投資家が相次いで不参加を表明。殺害疑惑への関与が報じられるサウジ政府に対し、調査と説明を求める動きが広がっている。(ワシントン=青山直篤)