(高知・Kochi黒潮CC 7335ヤード=パー72)
男子ゴルフのカシオワールドオープンは25日、最終ラウンドがあり、2打差の首位から出た崔(チェ)虎星(ホソン)(韓)が5アンダーで回って通算15アンダーとし、2013年のインドネシア・プロ選手権以来、日本ツアー2勝目を挙げた。
賞金ランキング首位の今平周吾は通算8アンダーの13位に入り、ランキング2位で予選落ちしたショーン・ノリス(南ア)との差を約3300万円に広げた。次週の今季最終戦、日本シリーズJT杯でノリスが優勝を逃すか、ノリスが優勝した場合でも今平が3人までの3位タイ以上に入れば、初の賞金王が決まる。
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バーディーなら優勝が決まる最終18番。崔(チェ)虎星(ホソン)が約30センチのバーディーパットを沈めると、ギャラリーは大いに喜んだ。
愛称は「虎さん」。韓国出身の45歳はいま、ちょっとした人気者だ。理由はそのフォーム。スイングした勢いのまま、片足立ちでけんけんけんと体が回る。この姿を一目見ようとごっそりと人の群れが動く。
母国の水産加工場で働いていた20歳の時、マグロの解体中に右手親指の一部を切断する事故に遭った。自身の腹の肉を指に移植した。百貨店、スーパー、炭鉱など職を転々とした後、ゴルフ場に勤めた。住居と食事がつくからだ。社長が、プレーヤーの気持ちが分かるように、と練習する機会を与えてくれた。これをきっかけに25歳でゴルフを始めた。プロになり、日本でのツアーデビューは2013年。
異色の経歴が独特のフォームを生んだ。「くるっと回るのは飛距離を出すため。ゴルフを始めたのが25歳と遅く、若い選手のようにスイングをする体の柔らかさを持っていない」。しなりが出ない分、体を思い切り回してしまえ、ということらしい。
4日間でボギーはたった四つ。フォームのユニークさとは裏腹に、安定感たっぷりのプレーで第2ラウンドから首位を譲らず。「スイングに注目が集まってギャラリーの方に笑って頂けるのはうれしいし、それを力に変えることが出来た」。人の良さそうな顔が何度も何度もほころんだ。(竹田竜世)