東証1部上場の鋼材・販売加工会社「小野建」(北九州市小倉北区)の正社員だった男性がうつ病を発症し、47歳で自ら命を絶ったのは過重な業務が原因だとして、男性の遺族が慰謝料や逸失利益など約1億円の損害賠償を求め、近く福岡地裁に提訴する。福岡東労働基準監督署が労災認定していた。
特集「小さないのち」
男性は福岡県内に住んでいた園田耕治さん。遺族側によると、耕治さんは1991年に同社に入社し、96年以降は福岡市東区の福岡支店で勤務していた。2014年4月ごろに不眠を訴え、翌月から休職。15年6月、自宅マンションから飛び降りて亡くなった。
労基署は17年8月、仕事が原因でうつ病を発症したとして労災と認定。13年12月に同僚が異動することになって以降、園田さんが未経験の経理業務を引き継いだことなどから業務量が急激に増え、発病前1カ月間の時間外労働が133時間を超えていたと判断した。
遺族側は今年6月、同社に損害賠償のほか、謝罪と再発防止を要求。しかし、同社が「死亡は業務に起因するものではないと考えており、応じかねる」などと拒否したため、提訴することを決めた。
遺族側は「過重労働で心身の健康を破壊することのないよう、必要な人員配置や業務分担をする義務を怠った」と主張している。
同社は「訴状を見ていない段階なのでコメントは差し控える。身内の人から訴えられるというのであれば残念だ。会社としては業務に起因していないと考えている」としている。(一條優太 一條優太)
■妻「裁判、会社に認めてもらい…