さい銭泥棒やスリの容疑者逮捕に協力したとして、小倉北署は19日、北九州市八幡西区の自営業、井上竜次さん(53)と、同市戸畑区の事務員、黒川美由紀さん(60)に感謝状を贈った。
井上さんは2月3日午後1時50分ごろ、男(46)が魚町銀天街で、サッカーJ3ギラヴァンツ北九州を応援するために設置されている「勝神社」のさい銭箱から金を盗むのを見つけた。その場を去る男を200~300メートル追いかけながら、110番通報した。男は800円を盗んだとして窃盗容疑で現行犯逮捕された。勝神社のさい銭は、神社を設置した小倉中央商業連合会が、ギラヴァンツを支援するイベントを開く際の資金にしている。
黒川さんは1月下旬ごろから、仕事帰りにいつも使う百貨店の井筒屋(小倉北区)近くのバス停で、よく見かける男が気になっていた。バスに乗ろうとして戻ったり、うろうろしたり。気がつくと、男が不自然なほど近い距離で自分の隣に立っていることもあった。
2月4日、店の階段で後ろから肩掛けバッグをひっぱられたように感じて振り向くと、その男がいた。「落ちとったよ」。カバンの中にあったはずの封書を男が持っていた。不審に思い、翌朝署に電話。後日、再びバス停で見かけ、再び通報するなどした。警察が男に事情を聴くと、JR小倉駅でのスリを自供し、窃盗容疑で逮捕。余罪をほのめかしているという。荻野典彦署長は「抜群の捜査センスと通報する勇気がすごい」とたたえた。(新屋絵理)