トランプ米大統領は20日、メキシコ国境に壁を建てる費用を含まないことを不服として、米連邦政府の2019会計年度(18年10月~19年9月)の新たな暫定予算の署名を拒む意向を示した。米国時間22日未明から、予算切れに伴って米政府機関の一部が閉鎖される可能性が高まってきた。
トランプ氏はホワイトハウスで「政府予算には国境の安全を盛り込まなければならない。私の立場は揺るがない」と強調。19日に米上院で可決した、来年2月8日までの暫定(つなぎ)予算案に署名しない姿勢を示した。
これに先立ち、トランプ氏と会談した与党共和党の下院トップのライアン議長は「我々は政府機関が機能し続けることを望むが、国境の安全を守る合意も望んでいる」と説明。議会で調整を続ける意向を示したものの、野党民主党が「国境の壁」の建設費計上を受け入れる見込みは薄い。
トランプ氏はメキシコからの移民問題を政治的な支持拡大の柱としてきた。この日も改めて「国境の安全には強力で物理的な壁が必要だ」と主張。21日までの現行のつなぎ予算が失効すれば、国土安全保障省や農務省などの一部が閉鎖されることになる。
トランプ政権では18年1月20~22日の3日間と、同2月9日の短時間とで計2回、議会との対立による政府機関の一部閉鎖が起きた。(ワシントン=青山直篤)