(23日、バスケットボール全国高校選手権=延岡学園91―70一関工)
「以前は審判への態度も良くなかった。印象の悪いチームを、少しでも変わったと思ってもらえるようにしないと……」
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延岡学園(宮崎)の米沢協平主将(3年)は1回戦で一関工(岩手)に勝ち、改めて気を引き締めた。延岡学園は今年6月、留学生が試合中に審判に暴行をふるって高校総体を辞退したばかり。23日にあった1回戦は全国大会への復帰戦だった。
「日本一は目指す。ただ強くなるだけでは誰からも評価されない。もう1回、応援してもらえるようなチームになる第一歩にしないといけない」。楠元龍水監督(24)は8月に就任し、週に1度のミーティングで選手に何度も語りかけたという。
審判やほかのチームへの態度を改め、あいさつを欠かさない。選手同士でも緊密に話し合うことで、留学生とのコミュニケーションは格段に高まった。暴力を振るって帰国した留学生と同じコンゴ民主共和国から来ているムヤカバング・フランシス(2年)は「事件のあと、お互いに意見を言い合えるようになった」と明かす。
「もっとシュートを自信を持って打って。外してもリバウンドを取るから」。フランシスは米沢にこう声をかけたという。一関工戦は久しぶりの全国大会で選手たちは緊張気味だったが、米沢がチーム最多の27得点を挙げれば、フランシスは33リバウンドとチームを支えた。「まだまだですが、少しでもイメージアップできるようにしたい」と楠元監督。過去2度の優勝を誇る強豪が再起の一歩を踏み出した。(河野正樹)