米ニューヨークの連邦地検は8日、ロシア系企業の資金洗浄事件をめぐり、ロシア人弁護士ナタリア・ベセルニツカヤ容疑者を司法妨害罪で起訴したと発表した。ベセルニツカヤ容疑者は2016年の米大統領選でロシア政府がトランプ氏陣営に肩入れをしたとされる「ロシア疑惑」の中心人物の一人で、ロシア当局との関係が注目されている。
訴追資料によると、ベセルニツカヤ容疑者は資金洗浄事件の弁護側でアドバイザーを務めていた14年以降、秘密裏にロシア検察幹部と協力し、虚偽の文書を米国の裁判所に提出したとされる。文書は、ロシア政府関係者の関与を否定する内容となっていた。
ベセルニツカヤ容疑者は、米大統領選中の16年6月、トランプ氏の長男ジュニア氏や娘婿のクシュナー氏ら陣営幹部とニューヨークのトランプタワーで面会。陣営幹部は、民主党候補だったクリントン氏に打撃を与える情報の提供があると聞き、面会が実現した。ロシア疑惑を捜査するマラー特別検察官がこの面会についても調べているとされる。
ベセルニツカヤ容疑者は一貫して、ロシア政府との関係を否定してきた。今回の訴追は面会とは直接関係ないが、被告とロシア政府との近さを示した形だ。(ワシントン=杉山正)