米国・グアムで桟橋に衝突する事故を起こし、船長からアルコールが検知された大型クルーズ船「にっぽん丸」が14日、横浜港に帰港した。横浜海上保安部は、事故原因や飲酒についての調査を開始。船長や船員ら関係者に事情を聴くなどし、その結果や米当局の捜査状況を踏まえ、業務上過失往来危険容疑などでの捜査を検討する。
にっぽん丸は先月26日に横浜港を出発し、30日にグアムで事故を起こした。海上保安庁によると、海外の事故でも日本船籍であれば事故のあった国の当局のほかに海保にも捜査権があるため、必要があれば捜査に乗り出すという。
乗員乗客計624人にけがはなかったが、操船していた船長から、事故後の検査で国の基準超とみられるアルコールが検出された。船長は、事故後に飲酒したと説明しているという。日本ではアルコール検知器を使った検査の義務はなく、にっぽん丸では勤務前にほかの乗組員と対面で健康状態を確認するだけだった。
14日午後には、国の運輸安全委員会もにっぽん丸を調査。報道陣の取材に応じた新保一彦船舶事故調査官によると、右後部に幅約5メートル高さ約2メートルの穴があり、左後部にも一回り小さい穴があったという。今後、船員から聞き取りをするという。