第2次世界大戦中に日本政府によって花岡鉱山(秋田県)に強制連行された中国人労働者が蜂起した「花岡事件」などをめぐり、中国人の元労働者や遺族が国に損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。酒井良介裁判長は原告側の請求を棄却した。
酒井裁判長は元労働者が中国から強制連行され、劣悪な環境で多くの人が亡くなったと認定したが、「1972年の日中共同声明で、個人も含めて賠償請求権は放棄された」とした2007年の最高裁判決をふまえ、原告らの訴えを退けた。
訴状などによると、元労働者11人は1943~45年に河北省、山東省、河南省から花岡鉱山に強制連行され、花岡事件で当局に逮捕・拷問されて死亡したり、過酷な労働を強いられたりしたという。別の元労働者5人は、大阪の造船所や大阪港で荷役として働かされたとしている。原告側弁護団によれば、日本の裁判所で争われている強制連行訴訟は現在この裁判だけだという。
2015年に提訴した原告側は…