(15日、テニス全豪オープン)
錦織圭、薄氷の勝利 対戦相手の途中棄権で2回戦へ
世界4位の経験者、錦織が肝を冷やした。予選から勝ち上がった23歳に大番狂わせを許すところだった。
苦しめられたのは、直線的で弾まない軌道の球。「自分の動きが悪いとは感じなかった」と言うようにミスは少なかった。だが、思うように打ち返せず、「正直、かなりびっくりした。トップ50とか、30位以内にいてもおかしくないようなテニスをしていた」。
あわやストレート負けの流れは、相手の負傷がなければ、きっと変わらなかった。だから、「(最後まで)元気だったら危なかった。良い形で2回戦に進みたかった」と振り返った。
ただ、そんな本音を隠さず口にできるのも、「世界」と渡り合ってきた29歳だからこそ。長丁場のトーナメントでは、「自分の日」ではないこともあると理解し、できるプレーに徹して耐えた。
頂点を目指す日本のエース。この勝利が、後に大きな実りをもたらすかもしれない。(富山正浩)