自転車を盗んだと申告してきた男を捜査せず、パトカーで送り返したとして、埼玉県警は8日、吉川署地域課の男性巡査部長(35)を停職3カ月、男性巡査(28)を減給3カ月(10分の1)の懲戒処分にし、発表した。巡査部長は「処理に時間を取られると思った」、巡査は「楽をしたかった」と話しているという。ともに同日付で辞職した。
監察官室によると、昨年8月8日午前3時ごろ、2人が勤務していた三郷駅前交番(同県三郷市)に40代の男が来て「自転車を盗んできた。捕まえてほしい」などと話した。
しかし2人は自転車盗について調べず、三郷市に隣接し、男が「姉がいる」と話した千葉県松戸市まで男をパトカーで送り届けた。自転車は、巡査部長が交番近くの路上に移動させ、その後見つかっていない。
男はその後、埼玉県八潮市で現金を盗むなどしたとして同10月、県警に逮捕され、捜査の過程で自転車の件が発覚したという。
古田土(こたと)等・首席監察官は「県民の信頼を損ねる行為で大変遺憾。再発防止に努める」とコメントした。(高絢実)