柴山昌彦文部科学相は15日の会見で、国立大へ理事や幹部職員として出向する文科省職員の人数を大幅に減らす私案を発表した。今年4月に交代する理事の出向は半減を目指し、課長級以上の職員も段階的に縮小する内容。柴山氏は「国立大との人事交流は行政の透明性に疑義を持たれかねない」と述べ、相次ぐ不祥事で失墜した文科省の信頼回復のためにも必要だと説明した。
文科省によると、昨年4月現在で国立大に理事として76人が、課長級以上の幹部職員として約200人が出向している。柴山氏は「出向で培った現場感覚を文科行政に反映させる意義はある」としつつ、大学の自律性や国立大学と国の関係も考慮すると、見直すべきだと述べた。今後、有識者会議の意見も聞きながら人事を進めるという。
国立大は2004年に法人化されるまで、教職員が国家公務員として文科省の人事で異動していた。その後は独自採用を増やしてきたものの、文科省との人事交流を続けてきた。ただ、関係性が問題視されることもあり、昨年には文科省幹部が全国の国立大学に、病死した同省職員の遺族への寄付金を募っていたことなども明らかになった。(増谷文生)