米国は15日、独裁的な支配への反発が広がっている南米ベネズエラのマドゥロ政権による圧政に関与しているとして、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)社長や諜報(ちょうほう)機関の幹部ら5人を、経済制裁の対象に追加すると発表した。米国はコロンビア国境へ新たな人道支援物資を米軍機で送ったとされ、マドゥロ政権への圧力を強めている。
米財務省は声明で、「正統性のないマドゥロ前政権を支える腐敗した高官に制裁を科す。彼らの組織は拷問や暴力的な方法で、人権を侵害し、民主主義を抑圧している」とした。トランプ政権は今月、マドゥロ派の制憲議会議員や最高裁判事にも、米入国に必要な査証の発行を禁じている。
一方、米国務省は同日、ベネズエラと国境を接するコロンビアに向け、新たに人道支援物資を送ると発表した。16日に到着するという。AP通信によると、物資は250トンに及び、運搬には米軍機を使った。
米国は、暫定大統領を宣言した反政権派のグアイド国会議長を「正統な大統領」として承認。グアイド氏は米国などに人道支援物資を要請した。だが、マドゥロ政権は「ベネズエラに人道危機はない」「米国からの物資は発がん性物質で汚染されている」などと主張し、国内への搬入を拒否している。グアイド氏は23日までに搬入させるとしており、政権側とのせめぎ合いが続いている。(サンパウロ=岡田玄)