ホンダは、欧州唯一の四輪生産拠点である英国南部のスウィンドン工場を2022年に閉鎖し、欧州生産から撤退する。19日午後に記者会見を開き、正式に発表する見通しだ。欧州販売の低迷に加え、英国の欧州連合(EU)からの離脱問題も背景の一つにありそうだ。離脱問題が引き金だとすれば、この問題で日系自動車メーカーが英国工場を閉める初の事例となる。
ホンダは生産を日本に移管する方向で調整しており、生産拠点の大幅な再編を計画しているとみられる。
1985年設立のスウィンドン工場では約3500人が働く。昨年は主力車シビックを約16万台生産し、米国や日本向けにも輸出していた。生産能力は年25万台あるが、販売の低迷もあり14年に第2工場を休止していた。
昨年のホンダの欧州販売は前年比7%減の14万3千台。同社の世界販売(523万8千台)に占める比率は2・7%と、各200万台前後を売る北米やアジアと比べて収益性は高くない。
EU離脱問題の不透明感を背景に、英国では今年に入り、自動車メーカーの生産休止などが相次いでいる。日産自動車は今月3日、英国中部のサンダーランド工場で予定していたスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」の次期モデルの生産を見送り、現モデルと同様、日産自動車九州(福岡県苅田町)で生産すると発表した。
独BMWも、英国での小型車「ミニ」の生産を4月1日から約1カ月間休む。英ジャガー・ランドローバーも4月上旬に一時生産停止に踏み切る方針だ。