欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、鉄道車両製造の分野で世界第2位のシーメンス(ドイツ)と、第3位アルストム(フランス)の鉄道車両事業の統合計画を却下した。寡占につながり、市場の競争環境を確保できないと判断したため。決定を受け、両社は統合計画を断念することを明らかにした。
両社は2017年9月に鉄道事業の統合で合意。シーメンスの事業をアルストムに統合し、シーメンスが統合会社の株式の50%を引き受ける計画だった。
統合会社の売上高は単純計算で156億ユーロ(約2兆円)。中国の2社が統合して誕生した世界最大手の中国中車(売上高は約3・4兆円)に次ぎ、カナダのボンバルディアや日立製作所を大きく引き離す。規模だけでなく、ITなどの最新技術を持ち寄り、低価格戦略で新興国市場での事業を拡大する中国中車に対抗するねらいがあった。
だが、欧州委はこの日、統合計画によって「高速鉄道車両や信号ビジネスの市場で価格が高騰化したり、選択肢が少なくなったりする可能性がある」と指摘。欧州委の懸念に対して、これまで両社は修正案を出してきたが、「十分なものではなかった」とした。
一方、両社の広報担当者は朝日…