ソニーモバイルコミュニケーションズが25日、スペイン・バルセロナで開幕した世界最大の携帯電話関連の展示会「MWC」で、画面が主な映画スクリーンと同じ縦横比となる世界初のスマートフォンを発表した。
本体は縦16・7センチ、横7・2センチ。今のスマホの画面は縦2、横1の比率が主流だが、新製品は6・5インチと他の大画面スマホとほぼ同じ大きさながら「21対9」。スマホで動画を見る人が増えたことを受け、横にして使えば映画作品を臨場感たっぷりに見られるようにしたという。
従来のスマホで映画作品を見ると、画面の両端が切られるか、画面の上下に黒い部分ができてしまう。ソニーの新型スマホなら、そのままの画面で楽しめる。
三つの価格帯で発売し、最上位モデルの「Xperia(エクスペリア) 1」には高精細な4Kの有機ELパネルを世界で初めて採用する。関連会社のソニー・ピクチャーズエンタテインメントが持つ技術を生かし、映画撮影と同じような感覚で動画が撮れる機能を盛り込んだ。初夏に日本を含む世界で発売予定で、価格は米国で949・99ドル(約10万4千円)の予定。
ソニーのスマホ販売台数は減少傾向で、苦戦が続いている。ソニーモバイルの岸田光哉社長は発表会で「創造的な体験の新世界を探求することを可能にする、業界切っての専門技術はソニーだけが持ち込むことができる」と強調した。
MWCは毎年、世界各国から2千社以上が出展し、約10万人が来場する。今年は5G(第5世代)と呼ばれる超高速の移動通信方式の実用化が各国で始まることから「5G元年」と呼ばれ、海外の大手端末メーカーはMWCで5G向けのスマホを展示している。
日本からは、端末メーカーとしてはソニーモバイルが唯一出展するほか、10月に携帯電話事業に本格参入する楽天が初めて出展している。28日まで。(バルセロナ=生田大介、寺西和男)