日本での留学希望者が、在留資格を得ようと書類を偽造する不正行為が後を絶たない。そこでソニーと富士通は、仮想通貨にも使われるブロックチェーンの技術で偽造を防ぐしくみを共同開発した。今月末にも試験運用を始め、2019年度中の実用化をめざす。
外国人が日本に留学できる在留資格を得るには、「日本語の検定試験に合格した」、あるいは「日本語の学習講座を一定時間受けた」という証明書を入国管理局に出さなければならない。日本語の能力が足りないと生活上のトラブルを抱えやすいためだ。
一般的に証明書は、現地の日本語教育機関が発行し、日本にある日本語学校が申請を代行している。だが偽造が絶えず、ベトナムでは昨年、現地の仲介業者による大規模な偽造の疑いが発覚した。
そこで、富士通のオンライン学習システムと、ソニー子会社のソニー・グローバルエデュケーションが開発したブロックチェーンを組み合わせ、偽造防止のしくみをつくった。
留学希望者が現地でオンライン日本語講座を受けて修了すると、証明書発行とともにブロックチェーンに証明書のデータが登録される。日本にある日本語学校が照合し、発行された証明書が本物かどうかチェックする。複数のコンピューターでデータを分散管理し、データ偽造が難しいとされるブロックチェーンによって実現するという。
東京、大阪、佐賀で日本語学校を運営するヒューマンアカデミー(東京)が今月末から1カ月ほど試用する。ソニーと富士通は課題を検証したうえで、ほかの日本語学校にも売り込む方針だ。(北川慧一)