アスベスト(石綿)が原因で発症する中皮腫の患者2人が、治療や社会保障などに関する情報を発信するポータルサイトを立ち上げた。ネットの無料通話ソフト「スカイプ」や電話などで患者同士が悩みを語り合う交流の場もつくった。有益な情報を共有し、励まし合っていきたいという。
1月23日、大阪市中央区のオフィス。スカイプでつながった神奈川と北海道の中皮腫患者ら14人の映像がスクリーンに映し出された。
「自己紹介をしましょうか」。患者を支援する中皮腫サポートキャラバン隊の共同代表、右田孝雄さん(54)=大阪府岬町=が話しかけると、参加者が病状や治療などを語り出した。病院から特定の治療ができないと言われ、困っていた患者もいた。右田さんらが悩みを聞き、後日、支援に向かうことを約束した。
この日、初めて参加した胸膜中皮腫を患う田村浩二さん(54)=大阪府泉佐野市=は、「移動が大変な患者もいる。顔を見ながら、患者同士で情報交換ができるのがいい」と語る。
ポータルサイト「みぎくりハウス」をつくったのは右田さんと、共同代表の栗田英司さん(52)=千葉県鎌ケ谷市。中皮腫については、ネットで有用な情報を得るのが難しく、患者同士が交流する機会も少ないと考え、立ち上げた。
闘病の体験記のほか、治療や病院に関する情報、労災申請や石綿救済法による救済給付の申請方法なども載せている。スカイプでの交流会は月2回ほど開く。
右田さんは「中皮腫と診断されても、どんな病気なのかわからない患者もいる。前向きな気持ちになってもらいたいと思い、患者目線でつくった」と言う。
2016年7月に「余命2年」…