救急搬送された男性(当時66)が死亡したのは、119番通報を受けた消防職員が住所の入力を誤り、救急車の到着が約10分遅れたためだなどとして、奈良県天理市の遺族らが県広域消防組合に約3700万円の損害賠償を求めた訴訟が5日、奈良地裁で和解した。
遺族側の弁護士によると、組合は入力ミスが命に関わる重大な問題と受け止め、職員に継続的に注意喚起するなどの内容で和解。和解金の有無は明らかにしていない。組合は取材に「和解したが、コメントは控えたい」などとしている。
訴状によると、男性は2016年2月19日未明、天理市の自宅で急性心筋梗塞(こうそく)を起こした。妻が119番通報したが、通報を受けた指令センター職員が誤った住所を検索システムに入力。天理消防署から向かった救急車の到着が通常より10分ほど遅れた。男性はこの間に心肺停止となり、同3月2日、入院先の病院で死亡したとされる。